
禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
冷えた指先を覆う大きな手
熱い
燃えるよう
「‥‥クソガキのセックスに溺れて、気でも狂いましたか‥‥?」
凶暴な力を秘めた低い声
真上から落とされる強烈な眼光
雷のように私の目から身体の真ん中を抜け
ベッドまで刺し貫く。
目が逸らせない
動け
ない
「おかしいですか‥‥俺が夢だの努力だのと言ったら」
重なる手に
じわり
力がこもって
パキッ
私の手の下で
缶が乾いた音をたてる。
修斗が
私に初めて触った
修斗が
私に初めて本気で怒った
修斗
が‥‥
「嬢が夢を叶えることが、俺の夢だったと言ったら‥‥おかしいですか‥‥っ」
細くなった修斗の瞳が苦しげな声と共に揺れて
乱れた息が
もどかしげに飲み込まれた。
「帰ります‥‥」
引き剥がすように離れた手
缶ビールが落ちて
床に転がった。
―――嬢が夢を叶えることが俺の夢だったと言ったら、おかしいですか―――
乱暴にドアが閉まる音がしても
マンションの廊下を荒々しく歩く修斗の靴音が
いつまでも遠く
聞こえた。
