
禁断兄妹
第63章 聖戦
「柊が言うようにタクシーで行ったほうが早い。拾える通りに出ようか」
頷くと
柊の先輩は辺りを見回しながら歩き始め
私もその後に続く。
「ここからだったら‥‥
そうだな、こう行ってああ行って‥‥あの駐車場を抜けたら近道かな」
軽快な独り言と共に指を動かし
巡らせていた顔を私に向ける。
「急ごうね。走れるかい?」
「はい」
「よし、最短ルートで行こう。
‥‥こっちだ」
差し掛かっていた曲がり角を折れるように
急に走り出した柊の先輩
慌てて後に続いた。
その言葉通り
最短ルートを選択して進んでいるのか
一歩先を走る背中は
角を曲がり
路地を抜け
複雑な道を
迷いなく進んでいく。
思いの外ペースが速くて
私の息はすぐに上がってしまい
ついていくだけで
精一杯。
曲がるよ
まっすぐだよ
聞こえる小さな声を頼りに
大きな背中を追って
必死に走る。
繰り返す呼吸で
乾いていく喉
沸騰する全身の血
頭が
ぼうっとする。
