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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 左大臣のただ一人の姫である公子は現在、二十歳。早婚の時代としては、はや嫁き遅れの感は否めない。何故、権勢を誇る大臣(おとど)の娘公子がいまだに通わせる公達の一人もいないかとなれば、その理由は明白だ。公子があまりにも風変わりな姫―端的にいえば変人であるとの噂がその結婚の妨げとなっていることは言うまでもない。

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