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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

 それにしてもと、公子は今更ながらに薄い夜着一枚だけの身体をあの帝にあちこち弄られたことを思い出す。
 公子は帝が何故、そのようなことをするのか理解できない。既に二十歳という年齢に達してはいても、漸く遅い月のものを迎えたばかりの公子は男女間のことも性的な知識も何も知らなかった。
月のものもない不具者と言われていた公子は誰に嫁ぐこともなく生涯を終えるつもりであった。それゆえ、亡くなった乳母もお付きの女房相模も公子にはそういったことを一切教えなかったのだ。

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