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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

「父に、左の大臣に言います。私は理不尽にここに閉じ込められているのだと父にひと言いえば、父はすぐに私を屋敷に連れ帰ってくれるはずです」
 公子が必死の想いで言うと、何がおかしいのか、帝がふいに笑い出した。
 まるで公子を頭から馬鹿にしたような嗤い声が不愉快でたまらない。
「こいつは良い。お前、まだあの親父を信じてるのか」
 帝は嗤いながら、懐から懐紙に包んだ小さな包みを取り出した。

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