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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

 皇太后の見舞いに参内した公子を帝が勝手にそのまま内裏に監禁してしまったことを父が知れば、さぞや怒ることだろう。多分、父はまだ何も知らないのだ。もしかしたら、この卑劣な男は公子が自分から内裏にとどまりたいと言っている―なぞと偽りを並べ立て、父を騙しているのかもしれない。
 そう、だから、父が迎えにきてくれないのだ。父はこの男に良いように騙されている。

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