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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

「俺、今好きな子がいるんですよ」

「…ほぅ」

お猪口に口を付けながら、目だけで倉田を見る。

「でも、他のやつに惚れてるみたいで」

「彼氏がいるのか」

「いや、片想い…って言うか…」

倉田は首を傾げてみせる。

「どうも、そいつに振られたらしいんですよ」

「じゃあ、問題ないだろ。アプローチすればいいじゃないか」

倉田はくすくす笑いながら

「振られて傷ついてるとこに付け入るんですか~?」

そんな態度に、課長は苦笑して

「倉田の常套手段だろ?」

冗談っぽく問いかける。すると、心外そうに顔を歪めて

「うわ!!俺、悪いやつみたいじゃないですか」

「違うのか?」

反論すると思って茶化してみせたのに、倉田は一つため息をついて

「…今回は、いつもと訳が違うんですよ」

「へぇ…」

いつもと違う様子の倉田に、課長も驚きの顔色を浮かべた。

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