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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

 ゆえに、いずれは、たとえ惚れてもおらぬ女でも妻として迎え、子を儲けねばならぬということも厭というほど判っていた。母が次々に持ってくる縁談は、どこそこの藩の姫君だとか、旗本でも一千石取りの大身の姫であるとか、嘉門よりははるかに〝格上〟の家柄の娘たちばかりだ。

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