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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 今になって、嘉門は、お都弥の膚の白さが常人よりも際立っていたことを思い出していた。あれは生まれつきの膚の白さもあったろうが、もしかしたら、病で血が薄くなっていたせいなのかもしれない。殊に最近は白いというのを通り越して、蒼白くさえ見えることもあった。
 あれも、すべては重い病のせいであったというのか。
 ―迂闊だった。嘉門は今ほど己れの鈍さを後悔したことはなかった。

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