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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 嘉門の端整な顔が蒼褪めた。
 必ず次に逢うときまでには白粉花を描いた絵蝋燭を嘉門のために用意すると約束したお都弥。
 そうなのか、お都弥! そなたは、そんな女だったのか。約束を平気で破るような女だったというのか。それとも、俺が、この俺がそのような約束など守るに値しない男だと、そなたは思ったのか? 教えてくれ、お都弥。
 信じられなかった。あのお都弥が、優しい女が約束を平気で反故にし、自分を棄てて去っていったとは。

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