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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 嘉門はそんなことを考え、突如として己れの頭に浮かんだ禍々しい想いを振り払うかのように、烈しく首を振る。
 何を不吉なことを。
 あまりの馬鹿馬鹿しさに自分を嗤う。
 橋を渡り終えても、しばらくはまだ静かな小道が続く。捨て子稲荷と称される小さな祠の前を通り、人気のない道を進んでゆくと、四ツ辻に至る。そこを曲がった先が町人町の目抜き通りになるのだ。

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