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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

「約束だ、きっとだぞ」
「―はい、きっと」
 でも、そのときのお都弥はもう常と変わらぬ優しい花のような笑みを湛えていて。
 嘉門は、何も気付いてやることはできなかった。
 長話をしている中に、いつしか店の前の白っぽい道が夕陽の色に照らされていた。
 いつものように別れの挨拶をして、お都弥に背を向けて和泉橋の方へと歩き出した時、嘉門はふと背後を振り返った。

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