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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 そして、この時、嘉門はお都弥と一つの約束を交わした。
「もうすぐ白粉花の咲く季節になるな。都弥、一つだけ俺の我が儘をきいてくれるか」
 別れ際、ふと呟いた嘉門に、お都弥は眼を瞠った。
「白粉花の絵を描いた蝋燭を俺のために作ってくれ」
 短い静寂は、お都弥の躊躇いを示しているようにも思えた。
 が、お都弥は微笑んで頷いた。

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