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1582年　山崎の山中

そこにいる5~6人の男達からは尋常ではない雰囲気が醸し出されていた。

その中の一人にひどく汚れ、髪も振り乱し
力なく膝をついた男が取り乱したように叫んでいる。

「何ゆえ、なにゆえ殿を討たれた！！」

「なぜに‥」

皆、静まり返り男の悲痛な叫びだけが山中にこだまする。

「致し方なきこと‥それは殿もご承知であった‥」

項垂れた男が応える。二人以外誰も声を発する者はない。

男達から少し離れたところには従者と思われる侍達が辺りを伺っている。しかし咳ひとつないその光景がさらに異様さを強めていた。