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BL短編

第6章 オオカミさんの甘い罠

クッキーを完食した真尋は嬉しそうに僕を見た。
「ミキ、ちょっといい?」

腕を引かれ、空き教室に連れ込まれる。


「なんで、辞めたの?」
切なそうに僕の髪に触れる真尋も、なんだか悲しそうだ。

「何回やっても自信あっても5点取れないし...いっぱいお菓子貰ってるじゃん。」

撫でる手が優しくて、誤解してしまいそうになる。

「やきもち?」
「そういうのじゃない。ところでさ、真尋はどこに行きたいの?」

手を振り払い聞けば、なんのことか分からない顔をされる。

「ほら、付き合ってって言ってたじゃん。どこ行きたいの?」
会えない間に自己解決してしまった疑問は、ズキズキと、胸に刺さる。


「なに言ってるの。」
ふっと詰め寄られて、何かする前に大きな体に抱きしめられた。

「どこか出掛けるとか、そういう付き合ってじゃないことくらい、分かってたよね?なんで今更そんな風にねじ曲げるの。 」

少し怒気を孕んだ声が怖い。
「電話番号も、メールアドレスも知らないし、会いに来てもくれないから、交際とかの付き合ってって意味じゃなかったんだって思った。」

お菓子食べる時以外、僕と真尋は全然関わりがないんだ。


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