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BL短編

第6章 オオカミさんの甘い罠

廊下を走って、馴染み始めた教室の扉を開けて。

机に突っ伏している真尋に近付きながら、クッキーの包みを広げた。
乱暴に扱ったせいで、何枚か割れていて苦笑い。

ひとつ前の席に無断でクッキーを置かせてもらい、1つだけ親指と人差し指で手に取る。

もう片方の手で真尋の髪を引っ張るように持ち上げた。

「いっづ!」
ブチブチって何本か抜けた音したけど、僕はそんなの知らない。

「口開けろばか!」

「えっミキ?えっ?」
喋る口にクッキーを放り込もうとしたらタイミングが外れて歯にぶつかり、粕が机に散らばる。
「口!!!」
「はっはい!」

少し欠けたクッキーを真尋の口に放り込むと、真尋は素直にモグモグと咀嚼し、飲み込む。

「久しぶりにミキの食べた気がする!うまーい!」
残りのクッキーも手渡せば夢中で食べ始める。

「ほんとばか。」
美味しいと言われて、物凄く嬉しくなってしまう。


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