君に恋した冬
第7章 大事なもの
アキラが「俺が勝手にした事だから」と
お会計を済ませてくれている間に
オーナーがコソッと由梨に耳打ちする
「本当はアキラ君の彼女でしょ?」
『え…?違いますけど…』
違うと言った自分に、なんだかまたモヤモヤする
「そんな事言って~ついてるよー」
そう言いながらオーナーは自分の首をトントンとする
『…?』
何だか良く解らない由梨はそっと鏡を見ると
首にはくっきりとキスマークが残されていた
『これ…何?』
もちろんキスマークなど知るはずもない由梨は
自分の首の赤い痣に戸惑う
「え!知らないの?」
『これ、何かの病気ですか…?』
真剣に聞く由梨にオーナーは静かな美容院だという事を忘れて大笑いする
「はー、マジでウケた…
いやいや、すいません、ふふっ」
まだまだ笑いが止まらないようで
その声にアキラもこっちを見ていた
またコソッと耳打ちされ
「キスマークって言うんですよ。
首、吸われませんでした?」
そういえば…と昨日の情事を思いだし
一気に顔から火を吹きそうな程赤面する
『えっと…あのっ…』
軽くパニックになり焦っていると
会計を済ましたアキラが戻ってきて
不機嫌そうに
「何してんの?」
と尋ねてきて、さらに顔が赤くなる
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