テキストサイズ

陽だまりの仮面 -嘘-

第5章 キラキラ

どのタイミングで隣りに行くべきか…

今?

今でしょう!!


とか言うてる場合かっ!!


なんて、心の中で色々な1人ツッコミをテンパりながらやってると




カタン…




あ………。




花木君が自分の隣りの椅子をスッと後ろに下げてくれて。


それは、無言の行動だったけれど


“早く座ってください”


と言ってる風で。


さり気ない行動に、あたしの心はキュン。


別に、ゆっくり立ち上がる必要はないんだけれど

ガタンと音を立てて、“待ってました!”とばかりに隣りに何となく行きたくなくて

そぉっと椅子の音をさせないように立ち上がり

ちょっとだけ、彼が出してくれた椅子をガン見。



あそこに座るだけ!

ただ、隣りに行くだけ!


と自分に言い聞かせながら、高ぶる鼓動を落ち着かせ


あたしは花木君の隣りに。




「し……失礼します…」


「…………。」



借りて来た猫のように、ちょこんと座った。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ