テキストサイズ

陽だまりの仮面 -嘘-

第13章 失恋

「えっ……、」



予想外の出来事に驚き過ぎて、自分の目が落っこちちゃうんじゃないか?と思うくらい思わず目を見開く、あたし。



………いやいや。

何、爽やかに“おはよ”とか言っちゃってんの?

何、普通に“遅刻しますよ”とか言っちゃってんの?

何、お母さん的発言しちゃってんの?



てかてかてか。



「な、な……何で……?」


って、あたしの問いに不思議そうにきょとんとした顔で首を傾げる、花木君。


いやいやいや!!

不思議そうな顔とか意味が分からないから!

“何が?”って顔すんの止めて!




「何で、ここに?!」



「何でって、いつもと変わらないですが」



半笑いであたしにそう言うけれど、あたしは一層笑えない。

寧ろ、あたし、半引き攣り。


いや、全引き攣り。



そんなあたしにさっさと乗れと言わんばかりに



「ほら?」


「ッ‼‼」



自転車を一旦置いて。

まるで、初めてあたしを迎えに来てくれた時のよう。



あたしの手を引いて自転車の位置まで誘導し



「どうぞ?」



あたしを後ろへ乗るように促し、眼鏡の奥の瞳を細め、柔らかくふわりと笑った。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ