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陽だまりの仮面 -嘘-

第13章 失恋

―――なんて。



花木君の背中に問い掛けてみるけれど、当然答えなんて返ってくるわけなんてなくて。


沢山生まれる“何で”を投げ掛けたいけれど

投げ掛けて問い掛けてみたい気は満々なんだけれど



……あたしって、こんなヘタレだったっけ…。



喉まで出掛った言葉を、呑み込んでしまって、何も問えずにただただ、背中を見つめるしか出来なくて。


問うた答えが更にショックな事だったらどうしよう…

とか思う、気持ち。


問うたとこで、あたしの事は既にもう、好きじゃないって言われたんだから聞くだけ無駄じゃない?


とか思う気持ち。


でも……じゃぁ、キスは…?


って、思う気持ち。


色々な気持ちが入り乱れる心を抑えながら


ギュッと唇を結び、再び視線を繋ぐ手へと戻す。



力強くもなく、かと言って力弱くもなく、ごくごく普通の繋ぎ方に変わってる花木君の手。


振り解くなら今なんだろうけれど……




あたしは、そのまま繋がれたまま後ろを歩いた。




漆黒の闇の中。



あたしと花木君を見守るように、目の前にオレンジ色の半月が優しく照らしていた。




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