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陽だまりの仮面 -嘘-

第13章 失恋

まるで、連行される形で。

補導された女子高生が警官に着いて行くような形で歩く、帰り道。


生暖かい向かい風に乗ってふわりと香る、花木君の香りが鼻腔を掠め


ドキッと胸が高鳴る。



繋がれてる手には、当然花木君の、いつもと変わらない温もりが籠もり


つい数時間前までのあたしなら今のこの光景も胸が躍り、嬉しさでいっぱいだったはずなんだろうけれど

繋がれてる手を見るだけで、嬉しくて仕方がなかったはずなんだろうけれど




……今のあたしには、今のこの状況は……



ギュ―――ッと胸が痛む。




花木君から香るCKの香りでドキドキする自分。

繋ぐ手の温もりで胸が痛む、自分。


どっちの自分も心の中に居るのは確かで。

だからこそ、心臓が着いて行かない…。


何というか



キャパ越え?



ドキドキもチクチクも一気に来ると、どうしていいのか分からない。




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