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陽だまりの仮面 -嘘-

第10章 初デート

――――かと言って!!


綺麗に開いてる口にフォークを運べるかと言えば、イマイチ勇気が出ない

ヘタレなあたし。


だけど、


いつまでも口を開けさせておくわけにもいかないし…


「む、無理だって…」


って試しに言ってみても、花木君は無反応。




………絶対、聞こえてるよね?!

完全なる無視ですよねっっ!!?




だって。



「じゃぁ、いくよ?」


って、“無理”と言った声より小さ目で言った言葉は


「どうぞ?」


「…………。」


ちゃっかり聞こえてたんだから!!


畜生……。


自分のフォークを持ってウジウジと、やるべきかやらないべきかと悩んでたとこに


通路を挟んだ隣りのブサイクな女が花木君を見て


「クスッ」


と笑ったのを見逃さなかった、あたしは


やっと、あーん行為のスイッチがON。




ブスが花木君を見て笑った事が無性に腹が立った。



ブサイクに花木君を笑う資格なんてないっつーの。



くたばれ、ブス。




花木君は目を綴じてるからバレないだろうと、あたしは思いっ切り
女を睨みつけると


女はハッ!として上げてた口角を下げ、ついでに頭まで下げた。




ふん。

花木君を笑うなんて10年早いんだっつの。







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