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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

「冴えないって、誰が?」


「は?」


いやいや。

“は?”じゃないし。

いや、マジで何言っちゃってんの?



「つまんねーって、誰の事?」


「花木に決まってんじゃん」


「じゃぁ、冴える男って、退屈しない男って、誰の事?」


「少なくとも花木じゃないよね?」



って言った後、フッと嘲笑うように笑った橘の顔に苛々がMAX振り切り。



「でも、君でもないよね?」


「…‥…は?」


「冴えない、つまんないって花木君の事を言うけどさ。

それって、君も一緒だよね?」



苛々してて、“お前”とか“あんた”って言いたい所をグッと我慢して


敢えての、“君”。


ここで“橘”なんて名前を呼んでしまうのは何か悔しい。

マジで名前を憶えてるって教える事になってしまうのは、何か悔しい。


だから、お前でもあんたでもなく


君。




「君、冴えないしつまんないよ?」






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