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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

「ちょっ…離し…「ねぇ」


「何で、花木なわけ?」


「……はっ?」


「何で、あの眼鏡の花木なわけ?

何で、あんな冴えない花木が彼氏なわけ?」



あたしに言葉を向けてるのか、吐き出すように呟いてるのか

どちらか分からないような声でボソボソ言いながらも、



「ッ!」



あたしの手を握り締める力を強める。



「何でなの?」



「な、何が?」



「今まで彼氏なんて作って来なかったじゃん。

今までどんなに告られたって男に見向きもしなかったじゃん。

それなのに、何で急に目覚めちゃってんの?

その相手が何で突然沸いて出たあのつまんねーそうな男なの?


俺、納得いかねーんだけど?」



真っ直ぐ見据えたまま、あたしの手をギュッと握る橘の目をあたしも反らす事なく、真っ直ぐ見据える。



今、何て言った?

このバカ男。





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