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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

「どんな罰を、期待してましたか?」


「………ッ」



―――本来なら。

相手が花木君じゃなかったら

頬に触れる手を払い退けて



『誰が罰なんか期待するかっつの!』


とか


『調子乗って触んな!ボケ!』


とか、一発言ってやる所なんだけれど。

一発蹴り上げてやり所なんだけれど。

花木君だからそれをするワケにもいかず。

じゃぁ、身体ごと仰け反って頬に触れる頬から逃れてみたらいいじゃん

と、思うんだけれど



……何故か。



花木君の、艶やか風な視線も。

花木君の、あたしの頬に触れる手も振り解くことが出来ず


花木君と視線を絡ませながら、黙る事しか出来ない。



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