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陽だまりの仮面 -嘘-

第7章 夕陽と泪味

「はぁ……」


思わず漏らす溜息。

授業もつまんないし、くだらない手紙もクソだし。

苛々してつい出ちゃった溜息に、珍しく花木君が反応して


「どうかしましたか?」


あたしの顔を覗き込んで来た行動に、ビックリしつつ、あたしの心臓はドキッ。


まさか、溜息に反応されるとも思っていなかったし、

まさか覗き込まれるとも思ってなかったから。

あまりに驚き過ぎて、もう少しで


『うぉぉぉ!!』


って声を発してしまう所だったじゃぁないか。

危ない危ない……。



「琉愛?」


「あ、ううん!別に何もないよ」


「そうですか?」



ドギマギし過ぎて返事を返さなかったあたしに、再度声を花木君が掛けてくれて。


あたしは慌てて、両手を顔の前でブンブン左右に振ってみせると

花木君は、




―――――トクン……




ほんの少し、ふっと笑って



「なら、いいです」



そう言って再び視線を黒板へと向けた。




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