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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

 ややあって、おれんがポツリとひと言呟く。
「すばらしいわ」
「本当か? 気に入って貰えたのなら、俺も作った甲斐があったよ」
 弥助も興奮に頬を紅潮させて、おれんの手許を覗き込む。
「随明寺の絵馬堂近くに毎年、白木蓮が咲くんだ。初めておれんさんを見た時、何故だか、その白くてきれいな花を思い出しちまった。それで、この花の簪を作って、おれんさんの髪を飾ったら、さぞ似合うだろうなって思ったんだよ」

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