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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

 その瞬間、おれんが小さく息を呑むのが判った。だが、流石に縄暖簾の女将をしているだけあって、おれんはすぐに笑顔の下に動揺を隠した。
「娘さんがいらっしゃるのですね。お幾つにおなりですの?」
「十二だよ」
 ぶっきらぼうにも聞こえる返事を返すと、おれんは微笑む。
「どのようなお嬢さんか、お伺いしてもよろしいかしら」

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