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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

「職人さん―、何をお作りになっているんですか?」
 真顔で問われ、弥助はぼんのくぼに手をやった。
「簪(かんざし)とかをさ。これでも一応は錺職なんだ」
「素敵だわ。旦那なら、心のこもった細工をなさるんでしょうね。お人柄を見ていれば、判りますよ。あら、済みません。ところで、あたしはまだ旦那のお名前を知らないもので」
「弥助」

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