テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

 まるで世話焼きの女房みたいに一人前の口調で訊ねてくるのに、弥助は曖昧な笑みで適当にごまかしておいた。
 いや、恐らく、美空本人は父のそんなごまかしなどとうに見抜いているに相違ない。父が何か自分には言えない隠し事をしていると知りながらも、敢えて知らぬふりをしているだけのことだろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ