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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱

 清七はできるだけ穏やかに喧嘩口調にならぬよう注意を払いつつ、長身の男の方を見つめた。
 よくよく見れば、男たちは清七とさほど歳は変わらぬ風で、二十五、六といったところだろう。深酔いなどしていなければ、深夜の人気もない道で女を襲うような真似はすまい。ごく普通の堅気の男のように見えた。

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