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やっと、やっと…

第9章 暗い闇の中



「私は、


もう、別れたい・・・」







(・・・言えた


やっと本当の気持ちが言えた)







恐る恐る顔を上げ圭介の方を見る



圭介は、表情を変えず私の方をた
だ見つめていた





少しの間
緊張の糸が張り詰めたように
沈黙の時間が流れる















それからしばらくして、
圭介が長く息を吐く









「・・・勝手にしろ」













そう小さな声でつぶやくように言って私達の横を通りすぎて行った











「―――っはあ・・・」








緊張の糸がほぐれ

解放されたように
私は大きく息を吐いた








そして












私の肩を抱いていた智己が
私を強く抱きしめた










「よかった・・・、唯」





そう言いながら
私の髪を優しく撫でる







「智己・・・」






智己の優しさに
涙が溢れそうになる




私は智己に応えるように
大きな背中に腕を回し抱き返した







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