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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 しかし、修明が翠華の寝顔を見ただけでそっと出ていったことに、翠華の落胆を更に大きなものにした。寝室の扉が再び軋んだ音と共に閉じ、後は静寂が戻ってきた。同時に、翠華の身体中から力が一挙に抜けてゆく。翠華は、すっかり冴えてしまった意識を持て余しながら考えに耽った。蝋燭に照らし出された修明の表情には、暗い翳りが差していた。

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