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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 そして、ある時、翠華は一つの矛盾に気づく。
―私は、どうして修明様が私に触れようとしないことに、こんなにも傷つくのだろう。
 その瞬間、翠華は悟った。自分は他ならぬ修明に恋心を抱いているのだと。一つの事実に気づいてしまえば、後は自然と物事の全体が見えてくる。事実はあまりにも簡潔すぎた。翠華は修明に恋している。だから、修明が翠華を抱こうとしないことに、こんなにも傷つき哀しいのだ。

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