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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 露天商は娘に小さな瓶を差し出した。
「これをお前さんにやるよ。持っていくと良い」
 差し出されたのは、商い物の香水であった。
 娘が露店の主の顔を見ると、主人は笑顔になった。その笑顔は存外に人の好いものだ。
「リーラの花の香水だ。お前さんの新たな旅立ちへの餞といったところかな」
 少女は小さな瓶を胸に抱きしめ、ペコリと頭を下げた。

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