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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

男は酷い疵痕を隠すこともせず、真っすぐに首領を見据えた。
「この娘の身柄は、私が預かる」
 首領は苛立ちと憤りに赤くなりながらも、こえを震わせて言った。
「翠華は亭の旦那が昨日、奴隷商人から大枚をはたいて買い上げたばかりなんだ。この器量だから、直に稼ぎ頭になると期待をかけている娘だぞ。そんな女を横取りしてみろ、お前、ただでは済まねぇのが判ってるのか」
 その脅し文句にも、男は眉一つ動かさない。

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