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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 王の言葉は、賞め言葉には違いないけれど、明香には素直に歓べなかったのだ。
―そなたは強いな。
 その王のひと言が、予想外に明香に衝撃を与えた。
 自分は、本当は強くなんかない。哀しいときや辛いときは誰かに傍にいて欲しい、縋りたいと思うときだってある。伯父や伯母に冷たく当たられた時、入宮してからも先輩女官に苛められたときは、物陰で涙を流したことも一度や二度ではなかった。

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