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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 今宵、明香は王の寝所に侍る。王の住まいである大殿の寝所に入ると、純白の絹の褥には真紅の椿の花びらが撒かれていた。
 褥に座って待つように言われたけれど、恐怖が増してきて、今にもこの場から逃げ出したい衝動を堪えるのが精一杯だった。
「主上(サンガンマーマ)のお越し~」
 崔内官の声が響き渡り、寝所の扉が開いた。

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