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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

「それでは、崔内官が偽りを申したのであろうか。孫尚宮。崔内官が申していたぞ。主上と孫尚宮の仲は既に引き離すことのできないものであり、そなたは幾度も主上のお褥に上がり夜伽を務めていると」
「そんな―、何かの間違いでございます! 私は誓って、誓って―夜伽など務めてはおりませぬ」
 あまりのことに涙が滲んでくる。あの律儀で正直者の崔内官がそんな虚言を口にしたとは俄には信じ難い。

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