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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 一体、どこから退職願のことが知れたのか。
 明香の困惑をよそに、大妃は婉然と微笑む。
「主上のお情けを賜った女官が生きて後宮を出られるなどと、そなたは考えておるのか?」
「え―」
 刹那、明香の双眸が大きく見開かれた。
「わ、私は」
 言葉を紡ごうとして、明香は胸を喘がせた。
 何故、自分が王の寵愛を受けたなどという話になっているのだろう。何がどう間違って、そんな話になってしまったのか。

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