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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

「ところで、孫尚宮。聞くところによれば、そなたは明後日、宮廷を去るというではないか」
「―」
 明香はさっと蒼褪めた。本来なら、永の暇を取ることは柳尚宮に告げるべきであったが、到底、言い出せなかったのだ。引き止められるのも怖かったし、それで自分の決意が鈍ってしまうのがもっと怖かった。

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