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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 その時、両開きの戸の向こうから声が聞こえた。
「孫尚宮、大妃(テービマーマ)さまがお呼びでございます」
 比較的若い女官の声だ。
「すぐに参りますと伝えよ」
 明香は応えると、ひたひたと不安が波のように押し寄せるのを憶えた。何故、今更、自分が大妃に呼び出しを受けるのか、その理由に皆目見当がつきかねた。

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