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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 明香は手を止めて、室内をゆっくりと見回す。王付きの尚宮となってからというもの、大妃殿から国王付きの女官たちの住まう宮殿へと移り住んだ。一女官であった時代よりはひと回りは広い部屋を与えられたが、結局ここで暮らしたのは五ヵ月近くのわずかな期間となってしまった。
 荷物も殆ど片付けられた室内はガランとして、どこか淋しげだ。明香は感傷に浸りそうになるのを怖れるかのように、首を振った。

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