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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 王は若々しさの溢れる顔をさっと翳らせた。
「中殿は愛を望んでいた。夫婦であった頃、中殿を好きかと問われれば、恐らく好きだと応えただろう。だが、その好きという気持ちが、愛するのと等しい意味を持つのか、予にはいまだに判らぬ。中殿とは十二歳で出逢ったゆえ、それこそ、その想いは従妹か姉妹に対するような気持ちに近かった。中殿は、予のその気持ちに気付いていたのだ」

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