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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 王が同年代の少年よりもはるかに大人びているのは、その育った環境によるものに相違なかった。わずか十一歳で即位した王に求められたのは、子どもらしい無邪気さや冒険ではなく、王らしい分別と落ち着きだった。
 ひょろ長かった手脚にも筋肉がついてきて、王が日毎に少年から大人の男への階段を上ってゆくのが手に取るように判る。明香には王の成長が嬉しく、眩しかった。

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