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そして僕等は絡み合う

第2章 宮脇 詞の場合

「そうそう…俺ね~こう見えて、昔凄い肥満体だったんだよね。」


「えぇ!そうなんですか!」


見えない!
寧ろ若干細いと思うくらいだ!


「超コンプレックスで変わりたくて、あのビルをブラブラして…ディスプレイとかカッコいい店員さん見ながら夢を描いてたんだよね~。」


赤裸々に自分の話をしてくれる高橋さんが新鮮で、食い入る様に見てしまう。


「柴多さんには、解らないかもね!」


途中で柴多を煽るのは、余計だけど。


ニッコリ笑って言った皮肉に


「…そんな事は…。」


「本当かな~。で、Achevementの前のディスプレイが凄いカッコ良くて…見入ってたら、そん時店長の榎田さんがさ~俺に魔法を掛けてくれたんだぁ。」


きっとリアルに思い出してるのか高橋さんの表情は、見たことのないくらい穏やかで柔らかい。


「榎田さんは『君、背が高いから身体を引き締めたら、凄いカッコいいよ!引き締めたらウチの服を是非着て欲しい』って…生まれて初めて、そんな事言われて~俺単純に嬉しくて、その日から即行でダイエット始めたんだよね!」


そうだったんだ…。


遠くを見るかの様に、想いを込めて語る高橋さんに、胸の奥がジ~ンと熱くなってくる。


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