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そして僕等は絡み合う

第3章 西垣 静湖の場合

「ここもワインがお奨めみたいですよ。赤ワインで、いいですか?」


「うん…いいわ…。」


「赤ワインをデキャンタで…。」


「デキャ…?」


「あっ、野菜軽く焙ってくれましたよ。」


こ慣れてる…きっとヤクザの若頭か、ナンバーツーのブレーンなんだわ。


反射的に、敬語になった。


「…はい…。」


目の前に置かれたお皿に、次々と野菜や素材を置かれていく。


実験に使うみたいなガラス容器に赤ワインが入って運ばてきて、グラスにトクトク注がれた。


「乾杯…しますか?」


「はい…。」


ここで下手に逆らって、闇ルートで売られたら恐ろしい!


「じゃあ……何に乾杯しますか?」


「お任せ致します…。」


組の発展でも何でもいいわよ…早く肉食って帰りたい!


「じゃあ……マヨピョンの活躍に…でいいですか。」


マヨピョン!


「なっ……う…良いですわ。」


私の変な敬語に人見さんは、怪訝そうな表情になったが


「では…乾杯。」


「乾杯…。」


チン…とグラスの音は綺麗だった。

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