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砂漠の月、星の姫~road to East~

第1章 第一夜【砂漠へ~road to oasis~】

 小首を傾げるタリムは聡明な内面と臈長けた美貌とは裏腹に、時折、ふと童女のような無邪気な表情を見せた。フィーロは彼女のそんなあどけない一瞬の顔を見るのが好きだった。
―たとえ誰が何と言おうと、姫、あなたは、どうか生きて下さい。
 フィーロの言葉に、タリムは息を呑んだ。彼女に生きろと言うフィーロの意図が計りかねたのだ。彼女がもし生きて囚われれば、どうなるか判りすぎるほど判っているはずではないのか。

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