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砂漠の月、星の姫~road to East~

第1章 第一夜【砂漠へ~road to oasis~】

 淳一は、こんな声ではなかった。耳奥に響いてくるのは、優しい―まるで、この声に耳を傾けていると、広く逞しい胸にゆったりと抱かれているような、そんな安心感に包まれる。深くて、優しい声だった。安堵して何もかもこの声の持ち主にゆだねてしまえば良いのだと思ってしまうほどの。
 しかし、そんな穏やかな気持ちは長くは続かなかった。突如として、胸を引き裂かれるような深くて激しい哀しみが光香子を襲った。

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