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砂漠の月、星の姫~road to East~

第3章 第三夜【砂の蜃気楼】

 ソニンが務めて明るく訊ねる。鏡越しのタリム姫はもう翳りのない微笑みを浮かべていた。
「あなたはお逃げなさい」
 あまりにも唐突な姫の言葉であった。ソニンは顔色を変えた。
「何を仰せられます、姫様より先にこの王宮を出ることなぞ、ソニンは考えたこともございません。私はいつまでも、どこまでも姫様にお供致します」

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